青城SS | ナノ
「あ! はじめ! いい時に家から出てきた! 今暇?」
「暇じゃねぇ」
「今日雪やばくない? これ今雪寄せしないと夜ガチガチに凍って明日の朝車出せないやつじゃんね?」
「あぁ。だから今からやるんだよ」
「それならちょうどいいじゃん! うちの前もよろしく」
「はあ? 自分でやれよ」
「私がやってたら日が暮れちゃうー」
「お前いつからやってんのソレ」
「二時間くらい前」
「んでその雪だるまはなんだ」
「かわいいでしょ! 家族なの!」
「んなことしてっから終わんねぇんだろ」
「今日の雪結構重いじゃん? あ、コレ雪だるまの雪だって思ってさ、そしたら作るしかないじゃん? 雪遊びの雪よ」
「一人であそんでろ」
「うわー、はじめつまんない高校生になったね」
「勝手に言ってろ」
「冷た。はじめ冷たー。てか雪寄せって筋トレになると思うんだよね。だからはじめにうちの前の雪もお譲りしますよ!」
「筋トレだぁ? それなら尚更正月太りしたナマエがっ、オイ! 雪投げんな!」
「ぎゃー! 痛い! はじめの雪玉鉄球なんだけど!?」
「先に投げてきたのはそっちだろーが!」
「そうだけど、イタ! 痛い! 太ったって言うから、イタァ!?」
「自分で太った言ってたんじゃねぇーか」
「自分で言うのとっ、ギャ! 人に言われるのじゃ、ぎゃー!? 待って! 一時休戦! イダ!? きゅーせん!」
「休戦してどうすんだよ」
「……かまくら」
「あ?」
「どっちがいいかまくら作れるか勝負」
「いいかまくらってなんだよ」
「そんなの美的センスに決まってんじゃん。美術2のはじめには分かんないだろうけど。私の作った雪だるまみて鼻で笑うような、遊び心を失ってしまった男には分かんないだろうけど」
「あぁ?」
「いいよいいよ、雪遊びなんてもうしないもんねはじめは。負けるのが怖くて私と勝負なんてしたくないもんね」
「黙ってきいてりゃ好き勝手言いやがって」
「負けたら肉まん」
「特選のヤツな」
「いいよ。そんでピザまんもつけてね」


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「おーい、ナマエ。なんだよ集合って。しかもその後既読つくまで空のメッセージ送りまくってくんのなんなの? って、なにコレ!?」
「かまくら。徹は審査員ね」
「ハァ?」
「どっちが芸術点高いか審査して」
「また二人でなんか競ってんの? 飽きないねぇ」
「いいから! どっちが芸術的か早く!」
「どっちって、……ただの気合いしか感じられないデカイかまくらと、根性で数作りましたって感じの小さいかまくら集団じゃん。どっちもどっちでしょ?」

「ギャ!? 岩ちゃんなんで急に雪投げてくんの!」

「イタ! ナマエ!? お前まで、イタ!」

「なんで二人して無言でっ、痛い!」

「ちょ、岩ちゃん中に石入れてない!? 俺の知ってる雪じゃないんだけどてか顔はヤメっ、ギャア!!」

敗者、及川徹。

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